2011年09月28日

脱原発社会を創る30人の提言/池澤 夏樹 11271

脱原発社会を創る30人の提言 [単行本] / 池澤 夏樹, 坂本 龍一, 池上 彰 (著); コモンズ (刊)

★★★★★




「脱原発なんて、現実的なのか?」

と思っていたが、本書を読んでいると何とかなるのでは、

という勇氣をもらえた。



様々な電氣の議論を読み聞きしていつも感じていたのは、

サプライサイドの話は多いけれど、

デマンドサイドの話があまり実のあるものが少ないなぁ、と。

「節電する」とか「企業の休みをずらす」とか、

それって本当に効果あるの?持続可能なの?と突っ込みたくなることばかり。



でも本書に登場してきた田中優さんの話は説得力を感じた。

その主張を勝手にまとめると、

1.電力使用のピーク時は1年間の間でも一瞬しかない。

  そのピークコントロールを考える。

2.ピーク時の電力の91%は産業部門が消費している。

  ピーク時に企業が電力を惜しみなく使ってしまうのは、

  産業用の電力料金体系(使えば使うほど安くなる)という「仕組み」による。

3.産業用の電氣料金体系を家庭用と同じように使えば使うほど高くすれば良い。

  また、「夏の平日、午後2時から3時」のピーク時の電氣料金を高くする。

というもの。



ピーク時の電氣代を高くする、と言うためには

スマートメーターの導入が必要となるはずだが、

家庭用となると氣が遠くなるような時間とコストがかかりそうだけど、

産業用、となるとそれほど難しい話ではないのではないだろうか。



でも東京電力もこんな簡単なことに氣がつかないわけは無いだろう。

それを阻むものは何なのだろうか。

「総括原価方式」により、電力の使用を抑える、

というインセンティブが働かないのであろうか。




あと、大島堅一氏の「脱原発の経済学」も興味深い

原子力の発電コストは1kWhあたり5.3円(経済産業省資源エネルギー庁)、

というが、これは再処理費用や原子炉の廃炉費用などのバックエンドコストや

国家財政からの資金投入が入っていない、という主張だ。

それらを合わせて計算しなおすと、

原子力は10.68円、火力は9.90円、水力は7.26円となる、とのこと。

何をコストと考えるか?どうずればアップルtoアップルになるのか?

は立場立場で異なりそうだが、「原子力はコストが安い」という意見には

慎重にその計算根拠を確認すべきなのだろう。




一番知りたかったのは、原発事故による長期間にわたる内部被爆の影響。

この本にも結局はっきりしたことは書かれていなかった。

「誰も分からない」ということが今のところの結論なのだろうか。

中村尚司氏の



 事態がまだ流動的なので最終的に放出される放射性物質の総量は予測できないが、

 仮に20%とすると、チェルノブイリ原発事故よりも多い。

 このように、今回の原発事故による放射性物質の放出は非常に大きな問題である。

 ただし、核実験による放出量はそれをさらに大きく上回っていることを

 忘れてはならない。


と言うのは実に不氣味なコメント。

事実ならば、「今回の原発事故だけ氣にしてても意味無いじゃない」ということになってしまう。

そういえば、前から氣になっていたのだが、新聞に出ている各地の放射線量。

確かに福島周辺は他と比較して高い数値になっているのだが、

では東京と大阪、福岡などを比較して福島に近い東京が一番高いか?というとそうではない。

中国内陸部で度々行われた核実験の影響もあったりするのだろうか。。。

posted by GAKU at 08:00| 千葉 ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | 環境問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>では東京と大阪、福岡などを比較して福島に近い東京が一番高いか?というとそうではない。
>中国内陸部で度々行われた核実験の影響もあったりするのだろうか。。。

単純に原発/原爆に関係なく、微量であればごく日常的に放射線は存在するからですよ。
「今この世界を生きるあなたのためのサイエンス」に書いてありますが、本(厳密には紙)や自然の食物からも微量ながら放射線が出ています。

この辺は、年に数回しか更新しない(笑)ブログにも書きました。
http://ebitekishikou.blog115.fc2.com/blog-entry-11.html
Posted by えびはら at 2011年09月28日 19:21
おお、えびちゃん、折角コメントくれてたのに
氣がつかなくてごめん!

ブログ書いているなんて知らなかったぜ(笑)。
拝読させて頂きましたよ。

仰るとおり、ですね。

理科の得意なえびちゃんに質問。

自然の放射能と人工の放射線は、
数値が一緒ならば影響は違うの??
ラジウム温泉宿のオヤジが早死にしない
(と思う)のは、何故?
Posted by GAKU at 2011年10月04日 22:59
理系的に真面目に回答します(笑)

自然と人工という区切りの境が微妙ですが、数値が一緒であれば、影響は一緒だと思います。
#ただ、厳密には内部被曝の場合は、どの物質かによって、人体への吸収率が異なると思いますので、この点からは異なると思います。

温泉宿のオヤジが早死しない(と想定される)のは、単純に放射線量が「ごく微量」だからです。
放射能のがん発症率への影響には、「しきい値ある説」と「しきい値ない説」がありますが、「しきい値ない説」は、微妙。
http://www.denken.or.jp/jp/ldrc/study/topics/lnt.html
つまり、微量な場合は、影響ない(と見なせる)と考えられます。
#どこまでが「微量」と見なせるかかは、議論の余地あり

放射能による、遺伝子異常は、日常的に起こっており、微量なら、他の怪我と一緒で生物は治す能力を生来持っています。
#でないと、突然変異のようなものが日常的に起こることになるでしょう。

もちろん、微量だから問題ないのであって、非常に強い放射能濃度の土地があり、そこに一生居続ければ、がん発症率は多少あがるでしょう。
#たしか世界には、そんな土地があったような、ただ。統計的有意かギリギリのレベル。


今回の、事故の影響は日本のほとんどの土地においては、「温泉に行くことによるガン発生率の上昇率」と変わらないでしょうね。
Posted by えびはら at 2011年10月05日 00:04
えびちゃんへ

おお、早速氣合いの入った回答をありがとう!

えび説をこの関係の本を読んでの自分の結論は

1.量にもよるが放射線は人間に悪影響を
  及ぼす。特に乳児幼児への影響はデカイ。
2.ただ、「良いか悪いか」で言えば良いもの
  では無いのは確かだが、死亡率やガンとの
  相関性はしっかりと定量的に示されている
  わけでは無い(幸いなことにも世の中の
  サンプルが少なすぎる)少なくとも
  「原子炉のすぐ近く」などの極端な場所で
  なければ、長期間でなければ大した
  ものでは無い。
3.他の死因と比較する。自殺や交通事故、
  ストレスや運動不足、酒タバコなどが
  引き起こす死の「確率」からすると、
  それほどプライオリティの高いものでは無い
4.従って「死にたくない」がイシュー・目的で
  あるならば、他の死因を心配した方が
  よほど効果的・長生きできそうだ。
です(笑)。

如何だろうか?
Posted by GAKU at 2011年10月05日 23:06
そうですね。
放射能の影響より、それを心配するストレスの影響の方が大きいという意見もあります。
#私もそう思います。
個人的には、除染費用で何兆円とかいっていますが、復興のために他に使いどころが沢山ある気がします。

ちなみに、ガンとの相関性などが定量的に示されていないのは、「低濃度」の放射線のことであって、高濃度の放射線については、結構定量的に示されています。
それも、ブログに書いています(笑)
http://ebitekishikou.blog115.fc2.com/blog-entry-9.html
Posted by えびはら at 2011年10月06日 00:11
>放射能の影響より、それを心配するストレスの影響の方が大きいという意見もあります。
#私もそう思います


どう見ても成人病などで不健康そうな人に
「いやぁ放射線が心配で」とか言われると
「優先順位、間違ってません?」と
思わず突っ込みたくなりますよね、お互い(笑)。

>高濃度の放射線については、結構定量的に示されています。それも、ブログに書いています(笑)

おお、もちろんこちらも拝読しているよ。
さっき読んでいた本では(他の本でも同じようなことを言っていて迷いは深くなるのだが(笑))
チェルノブイリ周辺でも遺伝子に異常をきたしている人は15万人中数人、だとか。
また別の本では女性や若者に甲状腺がんが
多発した(どれくらい、とは書かれていなかった)ともあったし、何が何だかよくわからんね!

ガンがどれだけ増えた、って言われても
同じサンプルで同じように比較・実験できるとは
とても思えないのだが?その統計は本当に有意?
Posted by GAKU at 2011年10月10日 00:13
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